J1第18節 ガンバ大阪戦。
前節、山下の2ゴールなどで3-0で勝利したサガン鳥栖ではあるが近々の5試合中3試合が無得点とやや攻撃に不安を抱えている。
崩せてはいるので最後を決め切る事がポイント。
対するガンバ大阪もシーズン中の活動停止などの影響もあり、消化試合は少ないが未だ得点、勝ち点なしといまいち波に乗れていない様子。
勝利が欲しい一戦だ。
スターティングイレブン
前節から中2日で迎えた今節。
サガン鳥栖は大畑に替えて中野伸を起用。小屋松、樋口を休ませて中野嘉、ドン風智。
中野嘉は色々なポジションで起用できそうだが、まずは左ウイングハーフをこなせるようになって欲しい。
ドリブルも出来るし、何より小屋松は大変だ。
樋口がスタメンから外れたのは今期初めての事。
ドン風智はヘアスタイルをマイナーチェンジ。オールバックはそのままにツーブロックを導入。
そういうお年頃なのか。
一方のガンバ大阪は大胆にもパトリック以外の前線を5枚入れ替え。
宇佐美、井手口などがスターティングイレブンに名を連ねた。
デフェンスの4枚はそのまま。三浦、昌子、東口などのそうそうたる顔ぶれだ。
チアゴはベンチスタート。
さあ どうなるかみてみよう!
時系列レビュー
サガン鳥栖の保持時配置
鳥栖のセットは2-2-4-2の形。松岡が最終ラインに入り、3-1-4-2の形になる事も多い。
仙頭はやはりこの位置でゲームを作り、時に前線に加わる形が一番機能する。
ガンバ大阪のハイプレス回避の為、セイフティーにロングボールを蹴る事が多かった。
ガンバ大阪の守備は4-4-2。6枚でハイプレスを仕掛けてくる。
サガン鳥栖の非保持配置
ガンバは2-3-1-3-1(2-3-4-1)のような配置。
ロングボール多めだが、サイド経由で繋ぐ事もある。
対する鳥栖は4-1-3-2の形でハイプレスを敢行。基本の形は前節と変わらず。
しかしハイプレスは前半あまり機能しなかった。
理由は後述する。
撤退時は 5-3-2。
鳥栖から見て相手ボールが右サイド(飯野側)の時はそのまま。
左サイド(中野嘉側)の時は中野嘉を一列あげて4-4-2に変化する形がベース。
ガンバ大阪の第一ターゲットはパトリック。
空中戦に強いパトリックがロングボールのターゲットだった。
繋ぐ時は選手間の距離をあえて広げ、1対1の状況を作りだす。
複数名で囲まれなければ剥せる個人能力がある前提の戦術。
黒川をはじめ、ビルドアップ時は一枚剥がしてからパス。
という形が多かった。
この広い選手間の距離によって間延びさせられ鳥栖のプレスは前半上手く機能していなかった。
複数人で囲みたいのだが狙い所が定まらず、少し離れた距離で1対1の局面を作られてしまうとガンバ大阪は簡単にはボールを失わない。
キックオフ!〜(めずらしく)ロングボール大作戦
サガン鳥栖はガンバ大阪のハイプレス回避の為、ロングボール大作戦を決行。
最終ラインから山下めがけてボールをける形。
山下もある程度競れるのでセカンドボールの回収が大事になってくる。
これは五分五分といったところだった。
一方のガンバ大阪もロングボールの割合は7割くらいと多め。
ターゲットはパトリック。始終圧倒的な強さを見せていた。
だが、自陣でのセカンドボール回収に関してはサガン鳥栖優勢だった。
9分 最初にいい形を作ったのはガンバ大阪。
黒川がドリブルで本田を剥がして降りてきた宇佐美に展開→井手口→小野瀬と繋いで裏のパトリックもオフサイド。
ガンバ大阪の繋ぐビルドアップはこの形が多かった。
10分 中野伸がセンターライン付近で高尾にボールを奪われ、パトリック→宇佐美と繋がれ宇佐美のミドルシュート!
きわどいコースだったがパギ神が少し触ってボールは枠の外に。
危ないシーンだった。
サガン鳥栖の序盤は飯野。
サイドからのクロス、カットインしてからのシュートなど積極性が目立っていた。
16分 ソッコのロングフィードを山下が落とし中野嘉→林と繋がった。
そこから横の仙頭に流しドリブルで最終ラインを引きつけ本田に。
GKと最終ラインの間を狙ったパスに中野嘉が飛び込むが、ボールはGK東口の元に。
ディレイでオフサイド判定。中野嘉の飛び出すタイミング、本田のパスコースもやや甘かったか。
22分 ソッコのロングフィードは林にあわずゴールラインを割ってしまったところで飲水タイム。
攻守の切り替えの多い落ち着かない展開だった。
シュート数 鳥栖0/2 G大阪1/1
決定機 鳥栖0 G大阪1
鳥栖メーター 50%
23分〜ハイプレス、ハイプレス
飲水タイム。
鳥栖、大阪共にハイプレスで速い展開のまま試合は進んでいく。
東口はさっそくパトリックにロングボールを蹴ってきた。
24分 ハーフライン付近のこぼれ球を拾った宇佐美が持ち出してデフェンスライン裏にスルーパス。ここはパギが前に出て蹴り出した。
鳥栖は25分に左サイドの細かい繋ぎから、28分には右サイドからいい崩しを見せるがシュートに至らず。
30分 ハイプレスがはまり中野伸がカット。中野伸→山下→仙頭と繋ぎクロス。飛び込んだ林がヘディングで合わせるもボールに勢いはなかった。
31分 昌子からの展開で黒川が本田をかわしボールを持ち出す。そのまま福田に渡しアーリー気味のクロス。
小野瀬がゴール前で上手いトラップからフリーでシュート!
ここはエドゥ神!
決定機を逃れた。
35分 ガンバ大阪がハイプレスをやや緩めるとようやく試合が落ちつき始めた。
飲水タイムからハーフタイムまでの時間、シュートは両者共にわずか1本。
大阪の一回の決定機を除き、最後のアイデアにかけフィニッシュまでは至らない展開。
日本代表クラスの昌子、三浦、東口の壁も厚かった。
両者共にハイプレス。さらに鳥栖が繋がずにロングボールを蹴っていた為、ガンバ大阪が狙うトランジション(攻守の切り替え)が多く速い試合展開に。
ガンバ大阪のペースに乗せられてしまった形だった。
シュート数 鳥栖1/3(+1) G大阪2/2(+1)
パス数 鳥栖227(74%) G大阪298(80%)
決定機 鳥栖0 G大阪2(+1)
鳥栖メーター 50%
インターミッション〜スタンドの二人
スタンドで試合を観戦しているなにやら雰囲気のある外国人が二人...。
???(大柄ドレッド)「相手ノリズム二ノセラレテシマッテルネ。ガンバオーサカハビッグクラブナノデスカ?」
通訳「ビッグクラブですよ。去年は2位のチームです。コロナの影響もありシーズン中に2週間ほどチーム活動を停止していました。その影響もありいまいちチーム状態が上がらず、今期はまだ勝ちはありませんが。」
???(小柄パーカー)「24番...イイノ...ダッケ?彼シカシカケテナイネ。ナゼ他ノ選手はモットシカケナイ?」
通訳「えっと...。その...。」
ドゥンガ、チコ「シーズン途中の加入でどうなるかと思っていたが...チャンスあり! ギラリ」
45分〜サガンラッシュタイム!からの....
後半開始。
46分 サガン鳥栖はいきなり決定機を迎える。
一度パギまで戻したボールをロングキック。
こぼれ球を本田→松岡→山下→中野嘉→仙頭と繋ぎタメを作ってから裏抜けした中野嘉に。
キーパーと1対1に。
だがここはよく飛び出した東口のファインセーブ。
得点ならず。
小屋松とは違い中で勝負出来るのは中野嘉の特徴だろう。
鳥栖はガンバ大阪の広い距離感に対抗する為にマンマーク気味に当たりを強める。
面白いようにセカンドボールを拾い始めた。
そしてここからサガンラッシュタイム突入。
48分、49分、51分、52分、53分、57分とたて続けにいい形を作ったサガン鳥栖(ゴールが決まったとは言っていない)。
全部書いてみたが、非常に長くなってしまいダレそうなので省略。
ほぼ一方的に攻め続けた時間帯だった。
見知らぬ事情通「グッドリズム!グッドゥリドゥム!前半は早過ぎたんや!これが鳥栖のB・P・Rやで!」
58分 松岡のパスが引っかかり、パトリック→宇佐美と繋がりガンバのカウンター。宇佐美のクロスはパギの正面。
59分 林の鬼キープ。右サイドの細かいパス回しから仙頭→中野嘉のシーン。
色々な選択肢があったがミスパスからのイエロー...。
まあ俯瞰で何回も見てたら何とでも言えるのだが、選手は大変だ...。
61分 ようやくガンバ大阪も落ち着きを取り戻しパスが回り始める。コーナーキックから福田のシュートが生まれた。
63分 いいパス回しからソッコの縦パスは流れ本田に繋がらずゴールラインを割ってしまった。
サガン神「サガンラッシュタイム終了の時...。決めきれなかった者に与えられる運命や如何に...。」
見知らぬ事情通 編集長「!?」
のりよし、小屋松イン。
65分 右サイドから上手く味方を使い中央に切り込んだ宇佐美がシュート!これはソッコがブロック。
そして67分...。
小野瀬のパスを宇佐美がヘディングで落とし、これを拾った中野伸がクリア。だがボールは中央の奥野の前に。
奥野は左サイド福田へパス。
福田はがら空きの右サイドに飛び込んできた宇佐美にピンポイントのパス。宇佐美は冷静にサイドネットに突き刺した。
図でも分かるようにエドゥと中野伸が重なって大きなスペースを作ってしまっている。
(気づいた宇佐美は早いタイミングで手を挙げていた。)
なぜこんな事が起きてしまったのだろうか?
1 中野伸がクリア。と同時にエドゥとソッコが素早くラインを上げる。
2 ボールが奥野に。パトリックが中に入ってくるので一番後ろでパトリックに近い中野伸がマークで追いかける。
3 パトリックマークのタスクがあったのかエドゥもパトリックによって行く。
4 中野伸が自分のポジションに戻ろうとした時には時すでに遅し。
結果論で言えば、エドゥがパトリックを捨ててスペースを埋めに行けば防げたのかもしれないがパトリック(189cm)と中野伸(173cm)のミスマッチは怖すぎるので難しい判断だったか。
中野伸のクリアミスの時点で結果は決まってしまっていたのかもしれない。
サガンラッシュタイムに決めきれず、ワンチャンスをエースに決められるというよくある展開になってしまった。
シュート数 鳥栖10(+7) G大阪3(+1)
決定機 鳥栖1(+1) G大阪3(+1)
鳥栖メーター 70%→50%
69分〜ゴールは遠く、それでも試合は続いていく
飲水タイム。
リードしたG大阪は完全にパトリック大作戦に移行。
サイドを捨てて中締め4-4-2で守備固めに入る。
鳥栖陣内でも無理にシュートは打たずに完全に時間稼ぎモード。
70分 右サイドをオーバーラップしたソッコのグランダークロスは相手に当たりコーナーキック。
仙頭が蹴ったコーナーはエドゥがそらし小屋松のヘッド。東口正面。
スペースのあるサイドから攻撃を仕掛けるもゴールに迫れず。
73分 樋口、大畑イン。
74分 川崎、倉田イン。1ゴール決めた宇佐美はお役目御免。
76分にはエドゥが空いているサイドの飯野に大きなサイドチェンジ。
飯野がクロスを入れるとのりよしが飛び込んで豪快なダイビングヘッド!しかしゴールを捉えられず。
80分 飯野のクロスのこぼれをパトリックがクリアミス。本田がそのままミドルシュートを狙うも大きく枠を外れる。
相手が引いている時こそこういうミドルが重要になってくる。丁寧に打ちたかった。
81分 押し込まれたガンバ大阪はハイプレス再び。鳥栖のミスを誘う。
引いている時よりも守れてしまうのが面白い。
82分 ソッコのフィードを林が納めて飯野→酒井→本田と繋がって再び本田のミドルシュートも西尾がブロック。
このシーンでは左の小屋松がかなりフリーだった。
この時間あたりからビルドアップ時の3-1-4-2の配置を変更。最終ラインに大畑を加えてソッコ、エドゥ、大畑。
1に松岡。
4が右から飯野、樋口、本田、小屋松にポジションチェンジ。どうしても点が欲しいサガン鳥栖。
87分 豊田イン
90分 エドゥのフリーキックに豊田が競り勝ちゴール前に落とすも合わず。
93分 スローインから樋口→飯野と展開しドリブル。
ゴール前の豊田とのワンツーからクロスは豊田に合わずガンバ大阪がクリア。
その後、飯野のロングシュートも相手に当たっていたがゴールキックの判定。
ゴールは遠かった。
シュート数 鳥栖5/12(+2) G大阪4/5(+2)
パス数 鳥栖529(76%) G大阪533(79%)
決定機 鳥栖1 G大阪3
鳥栖メーター 50%
のりよし、中野嘉が徐々にフィットしてきているのは好材料だが独自集計の決定機数も鳥栖1 G大阪3と押し込んでいる印象の割に物足りない数字。
編集長が
「あー 今の惜しかったーーー!!!」
とテンションが上がるのがシュートシーンではなく、その一個手前の崩しのシーンが多いというのが今のサガン鳥栖の状態を表しているのかもしれない。
MVPは飯野に。始終積極性を見せてくれた。
アナザーストーリー〜見知らぬ事情通の独白
試合終了後、独りスタジアムに残りランニングで調整する控えの選手達を黙って眺めている男がいた。
右手には生ビール。
このブログに度々登場する見知らぬ事情通である。
見知らぬ事情通は鳥栖フューチャーズ時代を知る古参サポーター。
鳥栖の試合はホーム、アウェイ問わず必ずスタジアムで観戦するのが日常となっていた。
ただのサッカー好きだ。
飯野との崩しは良かったで…
しかし、時代は令和
まったく若手が重視されるのはそういう時代なのかの…
大いに結構!
だが、J1昇格に貢献し、チーム状況が苦しかった時代もチームに残り支えてきたあの若造ももう36歳
いつのまにかベテランなどと呼ばれておるわ…
ようやくチームの状態が良くなってきた時に取り残されるなんてあまりに寂しすぎるじゃろうに…
鳥栖の象徴
などという重荷を背負うお前の振る舞いは模範的
それも大事かもしれんが、もうええ…ええんや…
残された時間は少ない…話題のチコ、ドゥンガもスタジアムにおったの…ええ面構えやったで…
お前は点をとる事だけを考えてればええんや
自分の事だけ考えてもう一度若手と勝負するんや…
2010年、11年前にお前がサガン鳥栖にきた時はあの林よりギラギラしとったで…
なあ 豊田、そしてヨシキよ!